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肉の生食についての法的規制

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最近一気に気温が上がり、いよいよ夏本番という風情になってきました。

この季節になると毎年食中毒のニュースが増えてきますが、今年は加熱が不十分な鶏肉が原因で食中毒が発生した事例や、テレビで鹿肉の刺身を紹介したことが問題になった事例等、肉の生食に関する事件のニュースをよく目にします。

肉の生食に対する心理的な抵抗については、人や地域によって大きく感覚が違うように思います。

よくある話でいえば、焼肉屋さんでどの程度肉に火を通すかというのは人によってかなり差があるように感じます。

地域性についていえば、私が今いる九州では鶏肉の刺身やたたきが当然のようにスーパーに並んでいますし、福岡の裁判所の近くには豚肉のレアステーキを提供する人気の定食屋さんもあります。

また、私が広島本店に在籍していた折には、山林を所有するお客様から「刺身が一番旨い」といって鹿肉を頂戴したこともあり、狩猟をする方の間ではそのような食べ方もあるのかと驚いた記憶があります。

しかし、あまりに危険性が高い食べ物の販売や提供については食品衛生法等の規制がかかります。

そして法律をもって規制をかけるとなると「人による」とか「地域による」といったことはほぼあり得ず、原則として日本全国どこでも誰にでも等しく規制が及びます。

それでは、現行法上肉の生食についてはどのような規制がされているのでしょうか。

まず上にあげた鶏肉や鹿肉の生食についていえば、実は食品衛生法等による直接的な法律上の規制はありません。

鶏肉については、鳥刺しを名物とする鹿児島県と宮崎県で生食用鶏肉の加工・保存等に関する自主的な衛生基準が設けられているものの、法律で生食用の鶏肉の提供が禁じられているということはありません。

また、鹿肉についても、厚生労働省が2014年に公表して昨年も一部改正された「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」というガイドラインにおいて「生食用として食肉の提供は決して行わないこと」と記載がされているのみで、法律上の規制はないというのが現状です。

法律によって直接的に規制が入るのは、やはり大きな事件が起きて対処の必要性が大きく取り上げられるようになってから、という場合が多いです。

生肉の提供が法律で禁止された事例といえば、真っ先に思いつくのは牛レバ刺しの提供が禁止された事例です。

この規制は、2011年に焼肉屋で発生した腸管出血性大腸菌O-111及びO-157による集団的な食中毒事件の発生をきっかけに行われました。

この事件の発生後には、5人もの死者が出たこと、及び食肉の加工段階で生レバーを切った包丁やまな板でユッケに使用する生肉を切っていたこと等が食中毒の原因の一つとされたことが大きく報道されました。

その結果、牛レバ刺しについては翌年7月に食品衛生法に基づく牛の肝臓の規格基準が施行され、全面的に販売・提供が禁止されるに至りました(なお、牛肉のユッケについては販売・提供が全面的に禁止されるには至らず、提供のための厳格な基準が策定・施行されるにとどまりました)。

また、牛レバ刺しの提供が禁止された後に一部の飲食店で豚レバーが生食用として提供されていたことが発覚したため、豚肉についても2015年6月から生食用としての食肉及び内臓の販売・提供が禁止されています。

もちろん、このような法律上の規制がないものであっても、他人に生食用の肉を提供するのであれば当然一定のリスクは存在します。

飲食店で食中毒が出れば食品衛生法に基づいて一定期間の営業停止等の処分を受けます。

また、本来加熱用の肉を生食用として提供するようなことがあればより重い処分がされるだけでなく、場合によっては責任者に対して刑事罰が科されることもあり得ます。

そして、食中毒が発生してお客様に損害が生じれば、民事上の損害賠償請求を受ける可能性も当然あります。

店舗で食中毒が発生すれば被害者の数が多くなる可能性が高いですし、特に食中毒が原因でお客様が亡くなった場合や重い障害が残ったような場合は損害賠償の金額も大きくなる可能性がより高くなります。

現に先のユッケによる食中毒事件では、東京地裁の判決で運営会社に1億6900万円の損害賠償責任が認められています。

また、同判決では国の衛生基準が十分周知されていた場合には経営者の個人責任も認められうるかのような判示もされており、今後は経営者の個人責任が認められる可能性も十分あります。

そういった意味でも、生食用の肉の提供の際には慎重な判断が求められます。

以上のように、肉の生食については重大な責任が生じることがあります。

しかしながら、法律で禁止されているのはあくまで販売・提供であり、自己判断で生肉を食べることについての規制はありません。

そして生肉に限らず、法律上生食が認められている食品であっても、各種食中毒が発生するリスクは当然ゼロではありません。

それでも多くの人々は、冬が来るたびノロウイルス感染のリスクを背負って牡蠣を食べてしまいますし、「肉は生に近いほど旨い」などといって十分に火の通っていない焼肉を食べてしまう方も一定数いらっしゃるようです。

食べ物を食べる以上食中毒のリスクは完璧には排除できないこと、かつ食べることは生きるために必要不可欠の行為であることから、「食べること」自体に法的な規制をかけることは中々難しく、法律の世界でできるのは食中毒等のトラブルが生じてからの事後的な対処が中心になってしまうのかもしれません。

岡野法律事務所では、東京・大阪以外に本拠を置く法律事務所としてはNo.1となる56名の弁護士を擁し、全国各地の支店で地域のお客様の様々なお悩みにお応えしております。

東京でお寿司を食べておなかを壊してしまったという方も、広島でお刺身を食べておなかを壊してしまったという方も、まずは病院で必要な治療をしたうえで、お困りの際はお近くの岡野法律事務所にご相談下さい。

文責:池上

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